日本語能力試験 N1

JLPT N1 模擬試験 #2

Japanese-Language Proficiency Test · Practice

言語知識(文字・語彙・文法) 45問 読解 25問 聴解 (省略 / omitted)合計 70問
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Language Knowledge — Vocabulary & Grammar

言語知識(文字・語彙・文法)

制限時間の目安 50分
問題1 のことばの読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
1彼は知識に対してきわめて貪欲だ。
正解 ② 貪欲=どんよく。むさぼるように欲する意。
2最終的な判断は現場の責任者に委ねることにした。
正解 ③ 委ねる=ゆだねる。連ねる・重ねる・阿るとの混同に注意。
3高齢になり、動作が緩慢になってきた。
正解 ① 緩慢=かんまん。動きがにぶく遅いさま。
4不正が発覚し、大臣は罷免された。
正解 ④ 罷免=ひめん。職を辞めさせること。
5長年の努力によって信頼を培うことができた。
正解 ② 培う=つちかう。贖う・繕う・抗うとの混同に注意。
6当面は暫定的な予算で運営する。
正解 ③ 暫定=ざんてい。正式に決まるまでの仮の措置。
問題2 ( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
7景気の先行きは( )を許さない厳しい状況だ。
正解 ② 「予断を許さない」で固定の言い方。安易に判断できない意。
8彼は何も言わず、( )席を立って部屋を出ていった。
正解 ④ おもむろに=落ち着いてゆっくりと動作を始めるさま。
9長年にわたる不正が( )し、会社は信用を失った。
正解 ③ 「不正が発覚する」が自然な結びつき。
10彼の説明はどうも( )が合わず、信用できない。
正解 ① 「つじつまが合わない」で論理に矛盾がある意。
11限られた予算の中から、なんとか費用を( )した。
正解 ② 捻出=苦労して都合をつけて金や時間を生み出すこと。
12彼は自分の失敗の責任を、部下に( )しようとした。
正解 ③ 転嫁=責任などを他になすりつけること。
13場をわきまえない発言で、彼は周囲の( )を買った。
正解 ④ 「顰蹙を買う」で人に嫌な顔をされる・反感を招く意。
問題3 のことばに意味が最も近いものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
14式典は滞りなく進行した。
正解 ④ 滞りなく=とどこおることなく=スムーズに。
15試験の結果がどうも気がかりだ。
正解 ① 気がかり=気になって心配なこと。
16彼の言い方はいつも回りくどい
正解 ② 回りくどい=要点を直接言わず遠回しなさま。
17走って、終電にかろうじて間に合った。
正解 ④ かろうじて=やっとのことで=なんとか。
18相手の実力をたかをくくって、油断していた。
正解 ④ たかをくくる=大したことはないと見くびる=軽視する。
19彼の試合前の予想はことごとく外れた。
正解 ② ことごとく=一つ残らず=すべて。
問題4 つぎのことばの使い方として最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
20めど
正解 ③ めど=物事が実現する見通し。「〜のめどが立つ/つく」。
21めっきり
正解 ① めっきり=目立って変化するさま。多く衰え・減少に使う。
22まんざら
正解 ④ まんざら=(打ち消しを伴い)必ずしも〜ない。「まんざらでもない」。
23やんわり
正解 ② やんわり=角を立てず穏やかに。「やんわり断る/注意する」。
24もろに
正解 ③ もろに=まともに、直接に。「影響をもろに受ける」。
25あえて
正解 ① あえて=困難や抵抗を承知のうえで、しいて行うさま。
問題5 つぎの文の( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
26住民の強い反対( )、工事は強行された。
正解 ① 〜をよそに=〜を無視・無関係であるかのように。
27ベルが鳴る( )、生徒たちは一斉に教室を飛び出した。
正解 ③ 〜が早いか=〜するやいなや、ほぼ同時に。
28資金が底をつき、計画の中止( )。
正解 ① 〜を余儀なくされた=やむをえず〜することになった(受け身)。させた(使役)との別に注意。
29家族を失った彼の心情は、察する( )。
正解 ④ 〜にかたくない=容易に〜できる。「察するにかたくない」。
30あの作品は、観る者を感動させ( )力を持っている。
正解 ② 〜ずにはおかない=必ず(相手を)そうさせる。使役的な強い必然。
31こうなった以上、一刻( )猶予はない。
正解 ③ 〜たりとも〜ない=ほんの〜さえも〜ない。
32私( )が口を出すなど、おこがましいことだ。
正解 ② 名詞+ごとき=〜のような(者)。自分を低めて言う用法。
33部外者の我々には、事件の真相など知る( )。
正解 ③ 〜べくもない=〜できるはずもない、〜する手段がない。
34連休の最終日( )、高速道路は激しく渋滞していた。
正解 ① 〜とあって=〜という特別な状況なので。理由・事情を表す。
35何度注意しても直らず、ついに上司に叱られる( )。
正解 ④ 〜始末だ=(悪い経過の末に)結局〜という有様だ。
問題6 つぎの文の ★ に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
36最近の若者は __ __ __ きらいがある。
1 深く2 考えない3 物事を4 あまり
正解 ④ 正:物事を/あまり/深く/考えない。★=「あまり」。
37この問題は、専門家 __ __ __ 、私に解けるはずがない。
1 できない2 でさえ3 のだから4 解決
正解 ① 正:でさえ/解決/できない/のだから。★=「できない」。
38いくら __ __ __ 、努力を怠れば成功はおぼつかない。
1 ある2 とはいえ3 才能4
正解 ② 正:才能/が/ある/とはいえ。★=「とはいえ」。
39彼は、__ __ __ 決して弱音を吐かなかった。
1 状況に2 あっても3 どんなに4 困難な
正解 ④ 正:どんなに/困難な/状況に/あっても。★=「困難な」。
40この成果は、__ __ __ にほかならない。
1 長年にわたる2 研究の3 積み重ね4 地道な
正解 ② 正:長年にわたる/地道な/研究の/積み重ね。★=「研究の」。
問題7 つぎの文章を読んで、文章全体の趣旨をふまえ、【41】から【45】の中に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
現代社会は、あらゆる面で効率化が追求されている。かつては手間のかかっていた作業も、技術の進歩【41】、瞬く間に処理できるようになった。確かに、こうした効率化は私たちの生活を豊かにしてきた。【42】、その一方で失われたものも少なくないのではないか。 例えば、手紙である。かつて人々は、相手のことを思い浮かべながら、時間をかけて一通の手紙を書いた。【43】、今では一瞬でメッセージを送ることができる。便利になったことは間違いない。だが、即座に返信できる【44】、かえって言葉が軽くなってしまったように思えてならない。 効率を求めること自体が悪いわけではない。【45】、効率の陰で何が失われているのかを、私たちは時に立ち止まって考える必要があるのではないだろうか。
41【41】
正解 ② 技術の進歩により=原因・手段。「進歩によって処理できるようになった」。
42【42】
正解 ① 前文の肯定(確かに〜)を受けて逆接へ転じる「しかし」。
43【43】
正解 ③ 過去の手紙と現在のメッセージを対比する「それに対して」。
44【44】
正解 ② 〜がゆえに=〜だからこそ(その結果)。「返信できるがゆえに言葉が軽くなる」。
45【45】
正解 ③ 前提を認めたうえで条件・留保を添える「ただ」。
Reading Comprehension

読解

制限時間の目安 60分
問題8 つぎの(1)から(4)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
(1)専門家とは、ある分野について多くを知る人のことだと思われがちだ。だが、本当の専門家は、自分が何を知らないかを正確に把握している人だと言えるかもしれない。知識が増えれば増えるほど、未知の領域の広さが見えてくる。むしろ、知れば知るほど、人は謙虚にならざるを得ないのだ。安易に断言してみせる者ほど、その分野を深く理解していないものである。
46この文章で筆者が述べている考えに最も近いものはどれか。
正解 ③ 「自分が何を知らないかを把握している人=本当の専門家」が主旨。
(2)社員各位 来月より、社内会議室の予約方法が変更となります。これまでは総務部へ電話で申し込む方式でしたが、今後は社内システムからの予約のみとなります。電話での受付は行いませんので、ご注意ください。なお、システムの操作方法については、後日改めて説明会を実施する予定です。詳細が決まり次第、別途ご連絡いたします。 総務部
47この連絡の内容と合っているものはどれか。
正解 ② 本文の中心は「来月より予約方法が変更」。電話受付は廃止、説明会は今後実施。
(3)「時間がない」と人はよく口にする。しかし、本当は時間がないのではなく、優先順位をつけられないだけではないだろうか。一日の時間は、誰にとっても等しく二十四時間である。同じ時間を与えられていながら、多くを成し遂げる人とそうでない人がいるのは、何に時間を使うかという選択の差にほかならない。時間とは、管理するものというより、選択するものなのである。
48筆者が最も言いたいことは何か。
正解 ④ 「何に時間を使うかの選択」が要点。最後の一文がまとめ。
(4)言葉は、思考を表現する道具であると同時に、思考を制約する枠でもある。私たちは言葉によって考え、言葉のないところでは思考そのものが成り立ちにくい。ある概念を表す言葉を持たない文化では、その概念自体が意識されにくいという。つまり、私たちが何を考えうるかは、私たちの持つ言葉の範囲に、少なからず左右されているのである。
49この文章で筆者が述べていることはどれか。
正解 ① 「考えうる範囲は持つ言葉の範囲に左右される」が結論。
問題9 つぎの(1)から(3)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
(1) 失敗は成功のもとだとよく言われる。だが、この言葉を文字どおりに受け取るのは危険かもしれない。失敗が自動的に成功へとつながるわけではないからだ。同じ失敗を繰り返す人は少なくないし、失敗から何も学ばずに終わる人もいる。失敗が成功の糧となるのは、それを冷静に分析し、次にどう生かすかを考えた場合に限られる。  むしろ問題なのは、失敗を過度に恐れる風潮である。失敗を許さない環境では、人は挑戦そのものを避けるようになる。挑戦しなければ失敗はしないが、同時に成長の機会も失われる。安全な道ばかりを選んでいては、大きな成果は望めない。  近年、教育の現場でも「失敗させない」ことを重んじる傾向が見られる。子どもが傷つかないよう、あらかじめ困難を取り除いてやろうというのである。一見、優しさのように思えるが、これは子どもから、失敗を通じて学ぶ貴重な機会を奪っているとも言える。転ばぬ先の杖が、かえって子どもの足腰を弱めてしまうのだ。  大切なのは、失敗しないことではなく、失敗とどう向き合うかである。失敗を恐れず、しかし失敗からは確実に学ぶ。その姿勢こそが、本当の意味での成長を支えるのではないだろうか。
50筆者によれば、失敗が成功につながるのはどのような場合か。
正解 ② 第一段落「冷静に分析し、次にどう生かすかを考えた場合に限られる」。
51「転ばぬ先の杖」とあるが、ここではどのようなことを指しているか。
正解 ② 直前の「あらかじめ困難を取り除いてやろう」を比喩で言い換えた表現。
52この文章で筆者が最も伝えたいことは何か。
正解 ④ 最終段落「失敗を恐れず、しかし失敗からは確実に学ぶ」が結論。
(2) 電話番号を覚えていたのは、いつ頃までだろうか。かつては家族や友人の番号を諳んじていたものだが、携帯電話が普及してからというもの、自分の番号さえあやふやだという人も珍しくない。道順にしても同じである。地図アプリが目的地まで案内してくれる今、私たちは町の地理を頭に入れる必要がなくなった。  これは、記憶を機械に外注しているとも言える。覚えておく必要のないことは覚えない。実に合理的である。脳の負担は減り、その分、別のことに頭を使えるという考え方もあろう。  しかし、ここで一つの疑問が浮かぶ。覚える努力をしなくなった私たちの記憶力は、はたして以前と変わらないのだろうか。筋肉と同じで、使わない能力は衰えていくものではないか。便利な道具に頼りきることで、知らず知らずのうちに失っているものがあるのかもしれない。  もちろん、技術の進歩を否定するつもりはない。問題は、道具に頼ることと、自分の能力を保つこととのバランスである。すべてを機械任せにするのでもなく、頑なに昔のやり方に固執するのでもない。両者をうまく使い分ける知恵が、今の私たちには求められている。
53「記憶を機械に外注している」とは、どういうことか。
正解 ① 直前「覚えておく必要のないことは覚えない」を言い換えた表現。
54筆者が抱いている疑問とは、どのようなものか。
正解 ③ 第三段落「使わない能力は衰えていくのではないか」が疑問の中心。
55この文章における筆者の主張に最も近いものはどれか。
正解 ② 最終段落「両者をうまく使い分ける知恵が求められている」。
(3) 「常識」とは、ある社会で当然とされている考え方や振る舞いのことである。私たちは日々、常識に従って生活しており、それを疑うことはほとんどない。常識があるからこそ、いちいち考えなくても物事を判断でき、社会が円滑に回るとも言える。  だが、常識は決して絶対的なものではない。時代が変われば常識も変わるし、ある国の常識が別の国では非常識とされることも珍しくない。かつて当たり前とされていた慣習が、今では考えられないものとして退けられている例は、いくらでも挙げられる。常識とは、その時代・その社会における「多数派の意見」にすぎないのだ。  ここで重要なのは、常識を頭から否定することではない。常識の多くは、長い経験の中で培われた知恵であり、それなりの合理性を持っている。問題は、常識を疑うことなく鵜呑みにしてしまう態度である。なぜそうなのかを問わず、ただ「みんながそうしているから」と従うとき、私たちは思考を停止させているのである。  常識を尊重しつつも、時にはそれを問い直す。この一見矛盾した態度こそが、変化の激しい時代を生きていくうえで欠かせないのではないだろうか。
56筆者によれば、常識にはどのような利点があるか。
正解 ④ 第一段落「いちいち考えなくても判断でき、社会が円滑に回る」。
57筆者が問題だと考えているのは、どのような態度か。
正解 ① 第三段落「疑うことなく鵜呑みにしてしまう態度」が問題とされている。
58この文章における筆者の主張はどれか。
正解 ③ 最終段落「尊重しつつも、時にはそれを問い直す」が結論。
問題10 つぎの文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
 人と人とは、どこまでわかり合えるものなのだろうか。  私たちは日常的に、「あの人は私を理解してくれない」と嘆いたり、逆に「この人とは話が通じる」と喜んだりする。理解し合えることは望ましく、すれ違いは不幸なことだと、多くの人は考えているだろう。だが、本当に他者を完全に理解することなど、可能なのだろうか。  そもそも、私たちは自分自身のことさえ、十分に理解しているとは言いがたい。なぜあのとき、あんな言動をとってしまったのか、後になって自分でも説明できないことは少なくない。自分の心の動きですら把握しきれないのに、まして他人の内面を完全に見通すことなど、できようはずがない。  しかし、だからといって、わかり合う努力が無意味だというわけではない。むしろ逆である。完全には理解し合えないという前提に立つからこそ、私たちは相手の言葉に耳を傾け、想像力を働かせようとする。最初から相手を理解できていると思い込んでいる人ほど、実は相手の話を聞いていないものだ。「わかったつもり」ほど、対話を妨げるものはない。  誤解を恐れずに言えば、コミュニケーションとは、わかり合うための営みであると同時に、わかり合えなさを確認し続ける営みでもある。話せば話すほど、相手と自分との違いが見えてくる。その違いに気づき、それでもなお関わり続けようとすること。そこにこそ、対話の本当の意味があるのではないか。  完全な理解という幻想を手放したとき、私たちはかえって、相手に対して誠実になれる。わからないからこそ、問い続ける。違うからこそ、語り合う。わかり合えないという事実は、私たちを隔てる壁ではなく、むしろ私たちを対話へと駆り立てる原動力なのである。  他者は、最後まで他者である。その当たり前の事実を引き受けることが、人と人とが共に生きていくための、第一歩なのかもしれない。
59人が自分自身について、筆者はどのように述べているか。
正解 ② 第三段落「自分の心の動きですら把握しきれない」。
60「わかったつもり」について、筆者はどのように考えているか。
正解 ④ 第四段落「『わかったつもり』ほど、対話を妨げるものはない」。
61筆者によれば、コミュニケーションとはどのような営みか。
正解 ① 第五段落「わかり合えなさを確認し続ける営み」「それでもなお関わり続ける」。
62この文章で筆者が最も伝えたいことは何か。
正解 ③ 「わかり合えないという事実が対話への原動力」という主旨が全体を貫く。
問題11 つぎのAとBは、それぞれ「在宅勤務」について書かれた文章である。二つの文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
A  在宅勤務が広がったことで、働き方は大きく変わった。通勤に費やしていた時間がなくなり、その分を仕事や私生活に充てられるようになった。満員電車のストレスから解放された人も多いだろう。自分のペースで集中して働けるため、生産性が上がったという声も聞かれる。場所に縛られない働き方は、育児や介護を抱える人にとっても大きな助けとなる。今後、在宅勤務はますます定着していくに違いない。 B  在宅勤務には、確かに利点がある。しかし、その影で見過ごされている問題も多い。同僚と顔を合わせる機会が減ったことで、ちょっとした雑談から生まれるアイデアや、職場の一体感が失われつつある。また、仕事と私生活の境界が曖昧になり、かえって長時間労働に陥る人も少なくない。自宅ではどうしても集中できないという人もいる。在宅勤務を一律に推進するのではなく、業務の性質や個人の事情に応じて、柔軟に選べるようにすることが重要だろう。
63在宅勤務について、AとBはどのように述べているか。
正解 ③ Aは利点を挙げて定着を予測、Bは利点を認めつつ問題点を指摘している。
64在宅勤務の進め方について、Bの考えに最も近いものはどれか。
正解 ① Bの結論「業務の性質や個人の事情に応じて柔軟に選べるように」。
問題12 つぎの文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
 「それは何の役に立つのか」。何かを学ぼうとするとき、あるいは何かに取り組もうとするとき、私たちはしばしばこう問われる。そして、明確な答えを示せないと、その営みは無意味なものとして退けられがちである。  しかし、本当に「役に立つ」ことだけに価値があるのだろうか。  そもそも、何かが役に立つかどうかは、すぐには分からないことが多い。基礎研究の分野では、何の役に立つのか分からないまま続けられた研究が、何十年も経ってから思いがけない形で応用され、社会を一変させた例が数多くある。もし「今すぐ役に立つか」という基準だけで研究の価値を判断していたら、それらの成果は決して生まれなかっただろう。  文学や芸術についても、同じことが言える。一篇の詩や一枚の絵が、直接何かの役に立つわけではない。だが、それらに触れることで、私たちの感受性は豊かになり、ものの見方は深まる。すぐには目に見えない、しかし確かな変化が、私たちの内面に起こるのである。  「役に立つ」という言葉には、注意が必要だ。それは多くの場合、「誰かの目的のための手段になる」という意味で使われる。だが、人間の営みのすべてが、何かの手段でなければならないわけではない。それ自体が目的であるような活動、ただ楽しいから、面白いから、美しいからという理由で行われる活動にこそ、人間らしさの本質があるのではないか。  効率を重んじる現代社会では、無駄を省くことが美徳とされる。確かに、無駄な作業を減らすことは大切だ。だが、「役に立たない」という理由ですべてを切り捨ててしまえば、私たちの生活はひどく痩せたものになってしまうだろう。一見無駄に見えるものの中にこそ、人生を豊かにする何かが潜んでいる。  すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる。長い目で見れば、回り道や無駄に思えたことが、最も深く私たちを支えてくれる。役に立つかどうかをいったん脇に置いて、ただそのものに向き合ってみること。その余裕を持つことこそが、これからの時代にはいっそう必要とされるのではないだろうか。
65基礎研究について、筆者はどのような例を挙げているか。
正解 ④ 第三段落の具体例。「分からないまま続けられ、何十年も後に応用された」。
66「役に立つ」という言葉について、筆者はどう述べているか。
正解 ② 第五段落「誰かの目的のための手段になるという意味で使われる」。
67「すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる」とあるが、これによって筆者が言おうとしていることは何か。
正解 ① 直後「長い目で見れば…無駄に思えたことが最も深く支えてくれる」。
68この文章で筆者が最も主張したいことは何か。
正解 ③ 最終段落「役に立つかどうかをいったん脇に置く…その余裕が必要」。
問題13 右のページは、市民スポーツ教室の案内である。下の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
さくら市 市民スポーツ教室 参加者募集さくら市では、市民の健康づくりのため、以下のスポーツ教室を開催します。 ◆ヨガ教室(初心者向け)  日時:毎週火曜 午前10時〜11時30分  対象:市内在住の18歳以上の方  定員:20名(先着順)  費用:1回 500円 ◆水泳教室(中級者向け)  日時:毎週木曜 午後7時〜8時30分  対象:25メートル以上泳げる方(年齢不問)  定員:15名(抽選)  費用:月額 3,000円 ◆親子体操教室  日時:毎月第2・第4土曜 午前9時〜10時  対象:3歳〜6歳の幼児とその保護者  定員:10組(先着順)  費用:無料 【申し込み方法】 ・ヨガ教室、親子体操教室は、市役所窓口またはホームページにて先着順で受け付けます。 ・水泳教室は、ホームページからのみ受け付け、応募者多数の場合は抽選となります。 ※いずれの教室も、申し込みは1人(1組)につき1教室のみです。 ※申込締切は、各教室の開始日の1週間前です。
69さくら市に住む30歳の会社員の女性が、仕事のため平日の夜しか参加できない。25メートルを泳ぐことができる彼女が申し込める教室はどれか。
正解 ② 平日の夜に開催されるのは木曜午後7時の水泳教室のみ。年齢不問で25m泳げれば対象。
70申し込み方法について、案内の内容と合っているものはどれか。
正解 ③ 水泳はHPのみ・ヨガは先着順・1人1教室のみ。親子体操は窓口またはHPで受付。