日本語能力試験 N1

JLPT N1 模擬試験 #3

Japanese-Language Proficiency Test · Practice

言語知識(文字・語彙) 25問 言語知識(文法) 20問 読解 25問 聴解 (省略 / omitted)合計 70問
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Language Knowledge — Vocabulary

言語知識(文字・語彙)

制限時間の目安 30分
問題1 __の言葉の読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
1彼はこの応募条件に該当する。
正解 ① 該当(がいとう)=条件にあてはまること。「がい・とう」と濁音・清音を正確に。
2新たな証拠が判決を覆すこととなった。
正解 ③ 覆す(くつがえす)=ひっくり返す。「翻す(ひるがえす)」と混同しやすい。
3将来に漠然とした不安を抱えている。
正解 ② 漠然(ばくぜん)=とりとめのないさま。「目前(もくぜん)」につられない。
4来月、新しい任地に赴く予定だ。
正解 ③ 赴く(おもむく)=ある場所・状態へ向かう。「阿く(おもねく)」と区別。
5当面は暫定的な措置で対応する。
正解 ④ 暫定(ざんてい)=一時的に定めること。断定・前提・算定との読み分けに注意。
6資金繰りが悪化し、支払いが滞る
正解 ② 滞る(とどこおる)=物事が順調に進まず、つかえる。
問題2 ( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
7長い不況の中、ようやく景気回復の( )が見えてきた。
正解 ② 「回復の兆し」=回復のきざし。名残=余韻、糸口=手がかり、弾み=勢い。
8前半の大きな遅れを後半で( )し、見事に逆転した。
正解 ③ 挽回(ばんかい)=失ったものを取り戻すこと。「遅れを挽回」。
9証拠もないのに、( )決めつけるのはよくない。
正解 ① 頭ごなしに=相手の言い分を聞かず、最初から一方的に。
10どちらを選んでも一長一短があり、深い( )に陥った。
正解 ② ジレンマ=二つの選択肢の板挟み。「ジレンマに陥る」。
11彼の不用意な一言が、大きな誤解を( )ことになった。
正解 ③ 「誤解を招く」が定型。招く=好ましくない事態を引き起こす。
12これはなかなか( )な問題で、簡単には片づかない。
正解 ④ 厄介(やっかい)=処理に手間がかかり面倒なさま。
13時間がないので、要点だけを( )説明します。
正解 ② かいつまむ=要点だけを抜き出す。「かいつまんで話す」。
問題3 __の言葉に意味が最も近いものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
14彼の横柄な態度に、周囲は腹を立てた。
正解 ② 横柄(おうへい)=いばって人を見下すさま。
15担当者が事件の経緯をつぶさに報告した。
正解 ③ つぶさに=もれなく細かく。=詳細に。
16あれほど苦労したのに、勝負はあっけなくついた。
正解 ① あっけなく=拍子抜けするほど簡単に。=あっさり。
17彼は最近、もっぱら研究に打ち込んでいる。
正解 ④ もっぱら=それ一筋に。=ひたすら。
18不意に後ろから声をかけられて驚いた。
正解 ② 不意に=思いがけず、急に。=突然に。
19提出した企画はことごとく却下された。
正解 ③ ことごとく=残らず、一つ残らず。=全て。
問題4 つぎの言葉の使い方として最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
20円滑(えんかつ)
正解 ② 円滑=物事が滞りなく進むさま。性格・味・水の流れには用いない。
21案の定(あんのじょう)
正解 ④ 案の定=予想したとおり(多く悪い結果に)。名詞や形容動詞では使わない。
22手がける(てがける)
正解 ① 手がける=自ら関わって仕事・作品を作る。「手がけ」という名詞ではない。
23念頭(ねんとう)
正解 ③ 念頭=心の中・思い。「念頭に置く」で覚える。年頭・額とは別。
24打開(だかい)
正解 ② 打開=行き詰まった状況を切り開くこと。物理的に開く意では使わない。
25ぎこちない
正解 ④ ぎこちない=動作や態度が滑らかでなく不自然。味・部屋・天気には使わない。
Language Knowledge — Grammar

言語知識(文法)

制限時間の目安 25分
問題5 つぎの文の( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
26一国の社長( )、社員の生活を守る責任があるはずだ。
正解 ② ~ともなると=その立場・段階になると当然。
27君のたゆまぬ努力( )、この成功は決してあり得なかった。
正解 ① ~なくして(は)…ない=~がなければ成立しない。
28親の心配( )、子供は危険な遊びに夢中になっている。
正解 ② ~をよそに=~を気にもかけず、無視して。
29一度引き受けた( )、途中で投げ出すわけにはいかない。
正解 ③ ~からには=~した以上は当然。
30彼ほどの実力( )、優勝はまず確実だろう。
正解 ③ ~をもってすれば=~という手段・能力を用いれば。
31彼は周囲の反対( )、計画を強行した。
正解 ① ~をおして=困難・反対を押し切って。
32彼の演技は、もはやプロと言っても( )ほどの完成度だ。
正解 ② ~と言っても過言ではない=そう言い切っても言い過ぎではない。
33努力すれば( )、夢は必ずかなうものだと信じている。
正解 ③ ~ばこそ=まさに~だからこそ(理由の強調)。
34その光景は、涙( )見られないほど悲惨なものだった。
正解 ① ~なしには…ない=~せずにはいられない。
35大人( )、子供にこんな難しい話が理解できるはずがない。
正解 ④ ~ならいざしらず=~なら別だが(実際はそうではない)。
問題6 つぎの文の ★ に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
36彼の成功は、 __ __ __ ものだ。
1 なくしては2 努力3 語れない4 たゆまぬ
正解 ① 正:たゆまぬ努力なくしては語れない。★(3番目)=「なくしては」。
37この計画は、 __ __ __ ものだ。
1 はじめて2 彼の協力が3 実現する4 あって
正解 ③ 正:彼の協力があってはじめて実現する。★(4番目)=「実現する」。
38どんなに __ __ __ あきらめてはいけない。
1 あろうと2 決して3 困難な4 状況で
正解 ③ 正:どんなに困難な状況であろうと、決して…。★(1番目)=「困難な」。
39彼は __ __ __ 部屋を出て行った。
1 とも2 せずに3 私の話を4 聞こう
正解 ① 正:私の話を聞こうともせずに。★(3番目)=「とも」。
40この問題は __ __ __ 解決できないだろう。
1 もって2 しても3 専門家の4 力を
正解 ② 正:専門家の力をもってしても解決できない。★(4番目)=「しても」。
問題7 つぎの文章を読んで、文章全体の趣旨を踏まえて、【41】から【45】の中に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
言葉と変化言葉は時代とともに変化していくものである。かつては誤用とされた表現も、多くの人が使ううちに【41】定着し、やがて辞書に載ることさえある。こうした変化を嘆く人は少なくない。しかし、言葉が生き物である【42】、その変化を完全に止めることなどできはしない。 むしろ大切なのは、変化を一律に否定する【43】、その背景にある社会の動きを見極めることではないだろうか。新しい表現が生まれるときには、必ずそれを必要とする人々の事情が存在する。【44】、言葉の変化とは社会の変化の表れにほかならないのである。 言葉の乱れを指摘する【45】、私たちはまず、自らの言葉が本当に誰かに届いているのかを問い直すべきなのかもしれない。
41【41】
正解 ② 「使ううちに次第に定着し」=だんだんと。
42【42】
正解 ③ ~以上=~なのだから当然(理由)。「生き物である以上」。
43【43】
正解 ④ 「Aするのではなく、Bする」の対比。否定→提案へ。
44【44】
正解 ② 前文を言い換えて結論づける接続詞「つまり」。
45【45】
正解 ③ ~に先立って=~する前に。「指摘するに先立って、まず…」。
Reading Comprehension

読解

制限時間の目安 55分
問題8 つぎの(1)から(4)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
(1)効率を追い求める現代社会において、私たちはしばしば「無駄」を悪とみなしがちである。しかし、一見無駄に思える時間こそが、新しい発想を生む土壌となることも多い。何もせずぼんやりと過ごす時間に、ふと優れた考えが浮かんだ経験は誰にでもあるだろう。無駄を排除し尽くした効率一辺倒の生活は、かえって人間の創造性を枯渇させてしまうのかもしれない。
46筆者の考えに最も近いものはどれか。
正解 ④ 「無駄に思える時間こそが新しい発想を生む土壌」と述べている。
(2)社内メール 全社員各位 お疲れさまです。来月より、社内文書の電子化を本格的に開始します。これに伴い、各部署で保管している紙の書類のうち、過去三年分を超えるものについては、順次廃棄の手続きを進めてください。ただし、契約書および法令で保存が義務付けられている文書は対象外とします。不明な点は総務部までお問い合わせください。 総務部
47このメールの内容と合っているものはどれか。
正解 ③ 契約書と法令で保存が義務付けられた文書は廃棄の対象外。
(3)読書とは、他者の人生を疑似的に体験する行為である。一冊の本を読み終えたとき、私たちは読む前とは異なる自分になっている。たとえ物語の筋を忘れてしまったとしても、その本を読んだという経験は確実に自分の一部となって残る。だからこそ、何を読んだかを覚えていないことを恥じる必要はない。読んだという事実そのものに、すでに意味があるのだから。
48筆者が最も言いたいことは何か。
正解 ④ 内容を忘れても「読んだという経験」が自分の一部として残る、と主張。
(4)「言わなくても分かるはずだ」という思い込みは、人間関係における多くの誤解の原因となる。私たちは、自分にとって当たり前のことは相手にとっても当たり前だと考えがちだ。しかし、育った環境も価値観も異なる他者が、自分と同じように考えているという保証はどこにもない。面倒でも、言葉にして伝える努力を惜しんではならない。
49筆者の主張として最も適切なものはどれか。
正解 ③ 「言葉にして伝える努力を惜しむな」が結論。
問題9 つぎの(1)から(3)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
(1)近年、人工知能が文章や絵画を生み出すようになり、創造性はもはや人間だけのものではないと言われるようになった。確かに、AIが生成する作品の完成度は年々高まっており、専門家でさえ人間の作品と見分けがつかないこともある。しかし、ここで一つ問い直してみたい。そもそも創造とは何なのか、と。 人間が何かを生み出すとき、そこには必ず動機がある。喜びや悲しみ、誰かに伝えたいという思い――そうした内発的な衝動が、表現の根底には流れている。一方、AIは与えられた指示に従い、膨大なデータの中から最適なものを組み合わせているにすぎない。出力された結果がどれほど見事であっても、そこに「伝えたい」という意志は存在しない。 つまり、AIが作るのは「作品」ではあっても、「表現」ではないのかもしれない。人間にとっての創造とは、単に新しいものを生み出すことではなく、自らの内面を外の世界へと差し出す行為なのである。技術がどれほど進歩しようと、この一点において、人間の創造性が失われることはないだろう。
50筆者によると、人間の創造とAIの生成との最も大きな違いは何か。
正解 ③ 人間には「伝えたい」という内発的な意志があるが、AIにはないと述べる。
51筆者は「表現」をどのようなものだと考えているか。
正解 ② 「自らの内面を外の世界へと差し出す行為」と定義している。
52この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
正解 ③ 最終段落「この一点において、人間の創造性が失われることはない」。
(2)「仕事のために生きるのか、生きるために仕事をするのか」という問いは、古くて新しい問いである。かつての日本では、長時間働くことが美徳とされ、会社に尽くすことが当然視されてきた。しかし、近年の働き方をめぐる議論の中で、その価値観は大きく揺らいでいる。 注目すべきは、若い世代の意識の変化である。彼らの多くは、収入や出世よりも、自分の時間や心の余裕を重視する傾向にある。これを単なる「意欲の低下」と片づけるのは早計だろう。むしろ、何のために働くのかという根本的な問いに、彼らは正面から向き合っているとも言える。 もっとも、こうした変化を手放しで歓迎できるかというと、そう単純でもない。仕事に注ぐ情熱が、時に人を大きく成長させることもまた事実だからだ。要は、働くことと生きることのバランスを、一人ひとりが自分自身で見いだしていくしかないのである。他人の決めた「正解」に従うのではなく。
53筆者は若い世代の意識の変化をどう捉えているか。
正解 ② 「根本的な問いに正面から向き合っている」と評価している。
54筆者が「そう単純でもない」と述べる理由は何か。
正解 ③ 「仕事に注ぐ情熱が人を成長させることもまた事実」。
55筆者の考えに最も近いものはどれか。
正解 ④ 「一人ひとりが自分自身で見いだしていくしかない」が結論。
(3)子供の頃、私は失敗を極度に恐れる少年だった。間違えることが恥ずかしく、確実にできることにしか手を出さなかった。そんな私を見て、祖父はある日こう言った。「転ばずに歩けるようになった人間はいない」と。 当時は、その言葉の意味がよく分からなかった。しかし大人になり、いくつもの失敗を重ねるうちに、ようやくその真意が腑に落ちるようになった。失敗とは、避けるべき汚点ではなく、むしろ前に進んだ者だけが手にできる勲章のようなものなのだ。何もしなければ失敗もしないが、その代わりに何も得られない。 今、私は若い人たちに伝えたい。失敗を恐れるあまり挑戦そのものをやめてしまうこと――それこそが、最大の失敗なのだと。たくさん転べばいい。そのたびに立ち上がる力さえ失わなければ、転んだ数だけ、人は遠くまで歩いていけるのだから。
56祖父の言葉を、筆者は子供の頃どう受け止めたか。
正解 ② 「当時は、その言葉の意味がよく分からなかった」とある。
57筆者は失敗をどのようなものだと考えるようになったか。
正解 ① 「前に進んだ者だけが手にできる勲章のようなもの」。
58筆者が若い人たちに最も伝えたいことは何か。
正解 ③ 「挑戦そのものをやめてしまうこと、それこそが最大の失敗」。
問題10 つぎの文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
分かり合えなさについて「分かり合う」という言葉には、どこか温かい響きがある。互いを理解し、心を通わせる――それは人間関係における理想として、しばしば語られる。しかし、私はこの言葉に、ある種の危うさを感じずにはいられない。 そもそも、人が他者を完全に理解することなど、本当に可能なのだろうか。私たちは皆、異なる体や記憶を持ち、異なる時間を生きている。同じ風景を見ても、そこから何を感じ取るかは一人ひとり違う。言葉を尽くしても、伝わるのはそのごく一部にすぎない。他者とは、本質的に「分からない」存在なのである。 だが、誤解しないでほしい。私は、理解しようとする努力が無意味だと言いたいのではない。むしろ逆である。完全には分かり合えないと知っているからこそ、私たちは謙虚に相手の声に耳を傾けることができる。「きっと分かっているはずだ」という思い込みこそが、対話を止め、相手の存在を自分の理解の枠の中に押し込めてしまうのだ。 考えてみれば、もし他者を完全に理解できてしまったら、そこにはもはや驚きも発見もない。分からないからこそ、私たちは相手にもう一歩近づこうとする。その尽きることのない歩み寄りの過程そのものが、人と人との関係を豊かにしていくのではないだろうか。 分かり合えなさを嘆くのではなく、それを互いの間に横たわる豊かな余白として受け入れること。そこから、本当の対話が始まるのだと、私は思う。
59筆者が「分かり合う」という言葉に危うさを感じるのはなぜか。
正解 ② 「人が他者を完全に理解することなど可能なのか」と前提を疑っている。
60筆者によると、「分からない」と知っていることの利点は何か。
正解 ① 「分かり合えないと知っているからこそ、謙虚に耳を傾けられる」。
61筆者は、他者を完全に理解できた場合どうなると考えているか。
正解 ③ 「完全に理解できてしまったら、もはや驚きも発見もない」。
62この文章で筆者が最も訴えたいことは何か。
正解 ④ 最終段落「分かり合えなさを豊かな余白として受け入れる」が主張。
問題11 つぎのAとBの文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
A・B(子供とスマートフォン)A  子供にスマートフォンを持たせることに、私は賛成である。確かに、使いすぎの心配はある。しかし、今や情報機器を使いこなす力は、読み書きと同じく欠かせない能力だ。早くから慣れ親しんでおくことで、子供は自然とその使い方を身につけていく。大切なのは、持たせるかどうかではなく、どう使うかを一緒に考えてやることだろう。頭ごなしに禁止するだけでは、かえって子供の成長の機会を奪いかねない。 B  子供にスマートフォンを与えるべきではないという声は根強い。私も、少なくとも一定の年齢までは慎重であるべきだと考える。幼い子供は、自分で使う時間を管理することが難しい。一度その魅力に取り込まれてしまえば、勉強や睡眠、友人との直接の交流といった、その時期にしか得られない大切なものが犠牲になりかねない。便利な道具であることは間違いないが、与える時期だけは慎重に見極める必要がある。
63子供にスマートフォンを持たせることについて、AとBはどのような立場か。
正解 ③ Aは賛成、Bは禁止ではなく「与える時期」への慎重さを説く。
64AとBに共通している考えはどれか。
正解 ② Aは「欠かせない能力」、Bも「便利な道具」と利点を認めている。
問題12 つぎの文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
便利さと代償私たちの暮らしは、かつてないほど便利になった。欲しいものは指先一つで翌日には届き、知りたいことは瞬時に調べられる。道に迷えば機械が正しい道を教えてくれるし、面倒な計算も一瞬で済む。こうした便利さを、いったい誰が否定できるだろうか。私自身、その恩恵を日々受けている一人である。 しかし、便利さには必ず代償が伴うということを、私たちはもっと意識すべきではないか。 例えば、地図を見ながら目的地を探すという行為を考えてみたい。かつて私たちは、道に迷いながら、街の様子を観察し、人に尋ね、自分の頭で方角を考えた。その過程で、思いがけない店を見つけたり、土地の人と言葉を交わしたりもした。今、機械の案内に従って歩く私たちは、最短距離で目的地に着く代わりに、そうした寄り道の豊かさを失っている。 便利さとは、要するに「考えなくてよくなること」である。考える手間を機械に肩代わりさせ、私たちはその分の時間と労力を節約する。だが、考えるという行為そのものが、実は人間にとってかけがえのない営みなのではないか。手間を省くたびに、私たちは少しずつ、自分で考え、感じ、判断する力を手放しているのかもしれない。 もちろん、私は便利さを捨てて昔に戻れと言いたいのではない。それは現実的ではないし、その必要もない。ただ、便利さを無条件に善とみなし、ひたすらそれを追い求める姿勢には、立ち止まって考えるべき点があると言いたいのだ。何を手に入れ、その代わりに何を手放しているのか。便利な道具に囲まれた今だからこそ、私たちはその問いを忘れてはならない。
65筆者が地図の例を通して言いたいことは何か。
正解 ③ 機械の案内により「寄り道の豊かさを失っている」と述べる。
66筆者は便利さをどのようなものだと定義しているか。
正解 ① 「便利さとは、要するに考えなくてよくなることである」。
67「考えるという行為」について、筆者はどう考えているか。
正解 ② 「考えるという行為そのものが、人間にとってかけがえのない営み」。
68この文章で筆者が最も訴えたいことは何か。
正解 ③ 「何を手に入れ、何を手放しているのか、その問いを忘れるな」が主張。
問題13 右のページは、ある市民文化センターの講座案内である。下の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
ひかり市民文化センター 夏期特別講座 募集案内下記のとおり、夏期特別講座の受講生を募集します。 【講座一覧】 A 初心者向け陶芸教室/毎週火曜 10:00-12:00/全8回/受講料 8,000円 B デジタル写真入門/毎週木曜 18:00-20:00/全6回/受講料 6,000円 C 健康ヨガ(昼)/毎週水曜 13:00-14:30/全10回/受講料 5,000円 D 古典文学を読む/毎週土曜 14:00-16:00/全8回/受講料 7,000円 【申し込み方法】 ・受付期間:6月1日〜6月20日(先着順) ・センター窓口、またはホームページからお申し込みください。電話での申し込みは受け付けておりません。 ・受講料は、申し込み時に全額お支払いください。 ・市外にお住まいの方は、各講座の受講料に1,000円が加算されます。 【注意事項】 ・各講座とも定員20名。定員に達し次第、受付を終了します。 ・一度納めた受講料は、講座開始後は返金できません(開始前のキャンセルは半額返金)。 ・AおよびCは、道具・マットをセンターで貸し出します。
69平日の夜に開かれ、回数が最も少ない講座はどれか。
正解 ② 夜(18:00-20:00)開講はBのみで、全6回と最も少ない。
70市外に住む人がこの講座に申し込む際、案内の内容と合っているものはどれか。
正解 ② 市外居住者は+1,000円、受講料は申し込み時に全額前払い。