日本語能力試験 N1
JLPT N1 模擬試験 #5
Japanese-Language Proficiency Test · Practice
Language Knowledge — Vocabulary
言語知識(文字・語彙)
制限時間の目安 35分
問題1 のことばの読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
1長年の懸案がようやく解決した。
正解 ② けんあん。「懸案」=以前から問題になっていて、まだ解決していない事柄。
2担当者は事態の収拾に追われた。
正解 ③ しゅうしゅう。「収拾」=混乱した状態をおさめること。同音の「収集」とは意味が異なる。
3古い因習にとらわれていてはいけない。
正解 ④ いんしゅう。「因習」=古くから続く、好ましくない習慣。
4地域経済は長く停滞している。
正解 ① ていたい。「停滞」=物事が進まず、その場にとどまること。
5利害が対立し、議論は紛糾した。
正解 ② ふんきゅう。「紛糾」=意見が対立して、もつれ乱れること。
6内部告発者への処遇が問題となった。
正解 ③ しょぐう。「処遇」=人をどう扱うか、その待遇のこと。
問題2 ( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
7災害に備えて、水や食料を( )しておく。
正解 ② 「備蓄」=万一に備えてたくわえておくこと。「貯蓄」は金銭、「蓄積」は積み重ね。
8彼の主張は( )を欠いていて、説得力がない。
正解 ③ 「一貫性」=始めから終わりまで筋が通っていること。
9交渉は( )に乗り上げ、決裂寸前となった。
正解 ④ 「暗礁に乗り上げる」=物事が思わぬ障害で行き詰まる慣用句。
10彼は社外に機密を漏らした( )で懲戒解雇された。
正解 ① 「〜の廉(かど)で」=〜という理由・容疑で。書き言葉的なN1表現。
11理不尽な要求が続き、社員は不満を( )ていた。
正解 ② 「不満を募らせる」=不満がしだいに強くなる。定番の組み合わせ。
12資金繰りがつかず、計画は( )に戻された。
正解 ② 「白紙に戻す/白紙になる」=計画などを取り消して無効にする。
13熟練した奏者の演奏は、聴衆を完全に( )した。
正解 ③ 「魅了する」=人の心を強く引きつける。「魅力」は名詞で動詞化しない。
問題3 のことばに意味が最も近いものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
14取引先に対する彼の態度は実に横柄だった。
正解 ② 横柄=高慢。いばって人を見下す態度のこと。
15解雇通告を聞いて、彼は愕然とした。
正解 ② 愕然=突然のことに非常に驚くさま。
16新人の彼女は、難しい仕事もそつなくこなす。
正解 ③ そつなく=抜かりなく、手際よく。
17コスト削減を理由に、彼の提案は一蹴された。
正解 ① 一蹴する=問題にもせず、即座にしりぞけること。
18担当者は事故の状況をつぶさに報告した。
正解 ③ つぶさに=細かく、詳しく。
19資金難により、再開発計画は頓挫した。
正解 ④ 頓挫する=物事が途中で行き詰まり、進まなくなること。
問題4 つぎのことばの使い方として最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
20念頭
正解 ② 「念頭に置く」=常に心にとめておく。3・4は「冒頭」「年頭」との混同。
21もっぱら
正解 ④ 「もっぱら」=それ一筋に、ひたすら。程度や時刻を表す語ではない。
22裏腹
正解 ③ 「〜とは裏腹に」=表に出たことと内心が逆であるさま。
23軒並み
正解 ① 「軒並み」=どれもこれも一様に。
24うってつけ
正解 ③ 「うってつけ」=条件にぴったり合っていること。
25はかどる
正解 ② 「はかどる」=仕事などが順調に進む。
Language Knowledge (Grammar) & Reading
言語知識(文法)・読解
制限時間の目安 75分
問題5 つぎの文の( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
26一流の職人( )、その仕上げの精緻さは素人には真似できない。
正解 ① 「ともなると」=その立場・段階になると当然そうだ、の意。
27責任を人に押しつけるばかりの彼の言い分は、聞く( )ない。
正解 ① 「〜にたえない」=とても〜できない(聞くにたえない=聞いていられない)。
28試験の結果( )、来年度の方針を見直すこともあり得る。
正解 ③ 「いかんでは」=〜の状況・内容しだいでは。
29無断で職務を放棄するとは、公務員にある( )行為だ。
正解 ④ 「〜にあるまじき」=〜としてあってはならない。
30終業のベルが鳴る( )、生徒たちは教室を飛び出していった。
正解 ① 「が早いか」=〜するのとほぼ同時に、すぐに。
31最新の設備( )、職人の経験なしには不良品を防げない。
正解 ② 「をもってしても」=〜を用いてさえ(それでもなお)。
32この事故の深刻さは、いくら強調して( )。
正解 ③ 「〜てもしすぎることはない」=いくら〜しても十分すぎることはない。
33会社の存続を考える( )、人員整理も避けられないだろう。
正解 ④ 「とあれば」=〜という事情・場合であるならば。
34知らせを受けた彼女は、今にも泣き出さ( )の表情をしていた。
正解 ① 「〜んばかり」=今にも〜しそうなほど。
35環境問題は、一国だけの努力で解決( )ものではない。
正解 ② 「〜し得るものではない」=〜できるものではない。可能の「得る」。
問題6 つぎの文の ★ に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
36締め切りが迫っているとはいえ、__ ★ __ __ べきではない。
1 品質を2 まで3 急ぐ4 犠牲にして
正解 ④ 正:品質を犠牲にしてまで急ぐべきではない。★=「犠牲にして」。
37彼は__ __ ★ __ 海外へ渡った。
1 よそに2 周囲の3 単身で4 反対を
正解 ① 正:周囲の反対をよそに単身で海外へ渡った。★=「よそに」。
38この問題については、__ __ __ ★ 難解だ。
1 さえ2 意見が分かれる3 ほど4 専門家で
正解 ③ 正:専門家でさえ意見が分かれるほど難解だ。★=「ほど」。
39__ __ __ ★ やり遂げるつもりだ。
1 最後まで2 責任を持って3 一度引き受けた4 以上は
正解 ② 正:一度引き受けた以上は最後まで責任を持ってやり遂げるつもりだ。★=「責任を持って」。
40関西の食文化は、__ ★ __ __ 多彩だ。
1 ならないほど2 比べものに3 それとは4 東京の
正解 ③ 正:東京のそれとは比べものにならないほど多彩だ。★=「それとは」。
問題7 つぎの文章を読んで、文章全体の趣旨をふまえて、【41】から【45】の中に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
(音楽について)音楽というものは、不思議な力を持っている。言葉の通じない相手【41】、メロディーひとつで心を通わせることができる。子どものころ、私はピアノを習っていた。練習は退屈で、何度もやめたいと思った。【42】、ある日、自分の弾いた曲を聞いた祖母が涙を流して喜んでくれたことがあった。その時の祖母の顔を、私は今でも忘れられない。
あれ以来、私は音楽を「上手に演奏するもの」【43】、「誰かに何かを伝えるもの」だと考えるようになった。技術の巧拙【44】、心を込めて奏でられた音は、聞く者の胸に必ず届く。
最近は、AIが作曲をする時代になったという。確かにAIの作る曲は完璧だ。【45】、そこに「伝えたい」という思いがあるのだろうか。私はそれを知りたいと思っている。
41【41】
正解 ② 「であれ」=たとえ〜でも。「言葉の通じない相手であれ」。
42【42】
正解 ① 退屈だったが予想外のことが起きた、という逆接の「ところが」。
43【43】
正解 ③ 「AではなくB」の対比。
44【44】
正解 ④ 「はともかく」=〜は別として、ひとまず置いて。
45【45】
正解 ② 完璧だ、しかし思いはあるのか、と問う逆接の「だが」。
問題8 つぎの(1)から(4)の文章を読んで、質問に答えなさい。答えは1・2・3・4から最もよいものを一つえらびなさい。
(1)件名:在宅勤務制度の見直しについて
これまで当社では、原則として週二日までの在宅勤務を認めてきましたが、来月より、業務に支障のない範囲で日数の上限を撤廃することといたします。ただし、チームの状況によっては出社を求める場合があります。各自、上司と相談の上で勤務形態を決めてください。なお、機密情報を扱う業務については、引き続き原則として出社とします。
46この文書の内容と合っているものはどれか。
正解 ③ 上限は撤廃されるが、チーム状況により出社を求める場合もあるため「なくなる場合がある」が適切。機密業務は原則出社。
(2)演奏会で最も緊張するのは、曲が終わった直後の数秒間だ、と語る演奏家がいる。音が消え、客席が静まりかえるその一瞬に、演奏のすべてが受け止められるからだという。拍手が起こるまでの沈黙は、演奏家にとって最も長く感じられる時間であり、同時に、聴衆と最も深くつながる時間でもあるのかもしれない。
47筆者の考えに最も近いものはどれか。
正解 ① 沈黙が「最も深くつながる時間」であるという点を押さえる。
(3)関西、とりわけ大阪では、見知らぬ者同士が値段をめぐって軽口をたたき合う光景が、今も商店街の随所で見られる。これを単なる「けち」と片づけるのは早計だろう。そこには、互いの距離を一気に縮め、人間関係を築こうとする独特の作法が潜んでいる。値切りとは、金銭の交渉である以前に、一種のコミュニケーションなのである。
48筆者は「値切り」をどのようなものだと考えているか。
正解 ④ 値切りを「コミュニケーション」と捉えている点が要点。
(4)「努力は必ず報われる」とよく言われる。だが、報われなかった努力は努力ではなかったのか。私はそうは思わない。たとえ結果に結びつかなかったとしても、何かに打ち込んだ時間そのものが、人を確実に変えていく。報われたかどうかで努力の価値を測るのは、あまりに一面的な見方ではないだろうか。
49筆者が最も言いたいことはどれか。
正解 ② 結果だけで努力の価値を測る見方を否定している。
問題9 つぎの(1)から(3)の文章を読んで、質問に答えなさい。答えは1・2・3・4から最もよいものを一つえらびなさい。
(1)生演奏には、録音された音楽にはない「揺らぎ」がある、とよく言われる。同じ曲でも、その日の会場の空気、演奏者の体調、聴衆の反応によって、テンポも音色も微妙に変化する。完璧に整えられた録音に慣れた耳には、その揺らぎは時に「不正確さ」として聞こえるかもしれない。
だが、私はむしろこの揺らぎにこそ、音楽の本質があると考えている。なぜなら、それは「今、ここでしか生まれない音」だからだ。二度と同じものは現れない。だからこそ、聴く者はその一瞬に全神経を集中させる。
近年、配信技術の発達により、世界中のどこにいても一流の演奏を高音質で楽しめるようになった。これは素晴らしいことだ。しかし、その便利さと引き換えに、私たちは「その場に居合わせる」という、かけがえのない経験を手放しつつあるのではないか。音楽は本来、空間と時間を共有する営みだったはずである。
50筆者は生演奏の「揺らぎ」をどのように捉えているか。
正解 ① 「揺らぎにこそ音楽の本質がある」と明確に述べている。
51「不正確さ」として聞こえるかもしれないとあるが、それはなぜか。
正解 ② 整った録音に慣れた耳には揺らぎが不正確に感じられる、という文脈。
52この文章で筆者が最も訴えたいことは何か。
正解 ④ 最終段落の「空間と時間を共有する営み」が主張の核。
(2)東京で長く暮らしていると、関西出身の私は時々、自分の話す言葉について考えさせられる。標準語は、誰に対しても一定の距離を保つのに都合がよい。角が立たず、無難である。一方、関西弁は、相手との距離を一気に詰めてしまう。初対面でも、まるで旧知の仲のように話しかけてしまうのだ。
このことを、私は長らく自分の欠点だと思っていた。場をわきまえない、馴れ馴れしい話し方だと。ところが、ある時、東京の友人にこう言われた。「君と話していると、自分まで素直になれる気がする」と。
その言葉で、私は初めて気づいた。距離を詰めることは、必ずしも無作法ではない。むしろ、相手の心の鎧を、知らず知らずのうちに脱がせてしまう力があるのかもしれない。言葉は、単なる伝達の道具ではない。それは、人と人との間に流れる「温度」そのものなのだ。
53筆者は標準語をどのようなものだと述べているか。
正解 ② 標準語は「一定の距離を保つのに都合がよい」と述べている。
54「自分の欠点だと思っていた」とあるが、何を欠点だと思っていたのか。
正解 ③ 「場をわきまえない、馴れ馴れしい話し方」を欠点だと感じていた。
55この文章で筆者が最も伝えたいことはどれか。
正解 ① 言葉を人と人との「温度」と表現した点が主張。優劣の話ではない。
(3)かつて、人は電話番号を何十件も記憶していた。家族、友人、職場——必要な番号は自然に頭に入っていた。ところが今、自分の携帯電話の番号すら、とっさに言えない人が珍しくない。記憶する必要がなくなったからだ。
これを「退化」と嘆く声もある。だが、私はそうは思わない。人間の脳の容量には限りがある。記憶を外部の道具に預けることで、空いた領域を別のことに使えるようになった、と考えればよい。問題は、何を自分の中に残し、何を外に出すか、その「選択」を意識的に行っているかどうかである。
道具に頼ること自体は、人類の歴史そのものだ。文字も、紙も、すべては記憶を外部化する技術だった。技術が変えたのは、記憶の「量」ではなく、記憶の「あり方」なのである。私たちに問われているのは、便利さを拒むことではなく、便利さとどう付き合うか、という知恵なのだ。
56「退化」と嘆く声があるのはなぜか。
正解 ④ 番号すら覚えなくなった現状を「退化」と嘆いている。
57筆者は記憶を道具に預けることをどう考えているか。
正解 ① 記憶の外部化で「空いた領域を別のことに使える」と肯定的に捉える。
58筆者の主張に最も近いものはどれか。
正解 ② 結びの「便利さとどう付き合うかという知恵」が主張。
問題10 つぎの文章を読んで、後の質問に対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
効率を追い求めることが、いつの間にか、現代社会の最も重要な価値の一つになった。無駄を省き、最短距離で目標に到達する。仕事においても生活においても、私たちは「いかに無駄をなくすか」を常に問われている。
確かに、無駄の削減には大きな意義がある。限られた時間と資源を有効に使うことは、決して否定されるべきではない。だが、最近の私は、ある疑問を抱くようになった。私たちが「無駄」と呼んで切り捨てているものの中に、実は大切なものが含まれているのではないか、と。
たとえば、目的地まであえて遠回りをして歩く。その途中で、思いがけない店を見つけたり、季節の移ろいに気づいたりする。最短ルートを選んでいたら、決して出会えなかった発見である。あるいは、すぐには答えの出ない問いについて、長い時間をかけて考え続ける。その過程で、当初は予想もしなかった発想が生まれることがある。
創造的な仕事をする人ほど、一見無駄に見える時間を大切にしている、とよく言われる。彼らは、すぐに役に立つかどうかで物事の価値を判断しない。むしろ、何の役に立つか分からないものにこそ、未来の可能性が眠っていることを知っているのだ。
効率化が進んだ社会では、すべての行動に明確な目的が求められる。目的のない時間は、罪悪感さえ伴うようになった。しかし、本当にそうだろうか。目的を持たずにぼんやりと過ごす時間、すぐには成果に結びつかない営み——そうした「余白」こそが、人間の心を豊かにし、新しいものを生み出す土壌になるのではないか。
無駄を完全になくした社会は、おそらく息苦しい。私たちに必要なのは、無駄を敵視することではなく、どの無駄が自分にとって意味を持つのかを見極める目なのである。
59筆者が「ある疑問を抱くようになった」とあるが、どのような疑問か。
正解 ② 直後に「切り捨てているものの中に大切なものが」と明示されている。
60遠回りの例を通して筆者が述べたいことは何か。
正解 ① 最短ルートでは「決して出会えなかった発見」がある、という趣旨。
61創造的な仕事をする人について、筆者はどう述べているか。
正解 ③ 「役に立つか分からないものにこそ未来の可能性が眠る」と述べる。
62この文章で筆者が最も言いたいことはどれか。
正解 ④ 結論は「どの無駄が意味を持つかを見極める目」が必要、というもの。
問題11 つぎのAとBは、それぞれ別の人が書いた意見である。二つの文章を読んで、後の質問に対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
A
子どもに早くから英語を学ばせることに、私は賛成だ。言語の習得には「臨界期」があり、幼いうちのほうが音を正確に聞き分け、自然な発音を身につけやすい。グローバル化が進む今、英語は単なる教科ではなく、世界とつながるための基本的な道具である。その道具を、できるだけ早く手にさせてやることは、子どもの将来の選択肢を確実に広げるだろう。
B
早期の英語教育には、慎重であるべきだ。確かに発音などの面では幼少期の学習に利点がある。しかし、母語がまだ十分に確立していない時期に二つの言語を詰め込めば、どちらも中途半端になる恐れがある。言葉は思考の土台である。まず母語でしっかりと考える力を養うこと——それこそが、後の外国語学習をも支える基盤になるのではないか。
63早期英語教育について、AとBはどのような立場をとっているか。
正解 ③ Aは「賛成」、Bは「慎重であるべき」と述べる。
64AとBが共通して認めていることは何か。
正解 ② Aは「自然な発音」、Bも「発音などの面では利点がある」と発音面の利点を共に認めている。
問題12 つぎの文章を読んで、後の質問に対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
「あなたの気持ちはよく分かる」——慰めるつもりで口にするこの言葉が、時に相手をひどく傷つけることがある。なぜだろうか。
人は、自分の苦しみを「特別なもの」として抱えている。同じような経験をした人がいると分かっていても、自分の痛みだけは誰にも本当には分からない、と感じている。そんな時に「分かる」と言われると、自分の苦しみを安易にまとめられ、軽く扱われたように感じてしまうのだ。
では、どうすればよいのか。私は、「分からない」という地点にとどまり続けることが、むしろ大切なのではないかと思う。相手の痛みを完全に理解することなど、本来できはしない。その不可能性を認めた上で、それでもなお相手を理解しようとし続ける——その姿勢こそが、相手に届くのではないか。
安易な共感は、しばしば理解を装った無理解である。「分かる」と言い切ってしまった瞬間、人はそれ以上相手を知ろうとすることをやめてしまう。理解したつもりになることは、理解への扉を閉ざすことでもあるのだ。
本当に他者に寄り添うとは、答えを与えることでも、共感を示すことでもないのかもしれない。分からないという事実の前で立ち止まり、相手の言葉に耳を傾け続けること。沈黙の中で、ただそばにいること。それは一見、何もしていないように見える。しかし、人が本当に救われるのは、案外そうした不器用な誠実さによってなのではないだろうか。
分かろうとすることをやめないために、まず「分からない」と認めること。逆説的だが、それが他者を理解する第一歩なのである。
65「あなたの気持ちはよく分かる」という言葉が相手を傷つけるのはなぜか。
正解 ① 「安易にまとめられ、軽く扱われたように感じる」と本文にある。
66筆者は「分からない」という地点にとどまることをどう捉えているか。
正解 ④ 不可能性を認めた上で「なお理解しようとし続ける」姿勢を重視する。
67「理解したつもりになること」について、筆者はどう述べているか。
正解 ② 「分かると言い切った瞬間、それ以上知ろうとしなくなる」と述べる。
68この文章における筆者の主張として最も適切なものはどれか。
正解 ③ 結びの「分からないと認めることが他者理解の第一歩」が主張。
問題13 右のページは、ある市の「市民音楽祭」出演者募集の案内である。下の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つえらびなさい。
市民音楽祭 出演者募集のお知らせ本市では、市民の皆様による「市民音楽祭」を開催するにあたり、出演者を募集します。
【応募資格】
・市内に在住、在勤、または在学している方
・3名以上のグループであること(個人での応募は不可)
・営利を目的としない団体
【演奏時間】
・1グループあたり10分以内(入退場の時間を含む)
【応募方法】
・所定の申込書に必要事項を記入し、演奏する楽曲を録音した音源を添えて、市民文化課の窓口に提出してください。
・郵送での申し込みは受け付けません。
【申込期間】
・7月1日〜7月20日(土・日・祝日を除く、午前9時〜午後5時)
【その他】
・応募多数の場合は抽選とします。
・電子楽器を使用する場合は、申込時に必ず申し出てください。
・選考結果は8月上旬に郵送で通知します。
69大学生のサトウさんは市外に住んでいるが、市内の大学に通っている。友人4人とバンドで応募したい。サトウさんたちは応募できるか。
正解 ④ 在学していれば資格があり、3名以上の条件も満たす(4人組)ため応募できる。
70申し込みについて、この案内の内容と合っているものはどれか。
正解 ② 郵送は不可、土日祝は除く、電子楽器は申し出れば可。窓口提出+音源添付が正しい。